ヒストグラム
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1948年以来、半世紀以上も市民に親しまれた「横浜市消防局」の名称が2005年度限りで消えることになった。
消防活動だけでなく、防犯や危機管理に対応する「安全管理局」に再編するのが狙いだが、「消防」の2文字が局名から消えるのは全国でも例はない。
市民らからの戸惑いの声に対し、市側は「局名が変わるだけで、基本的にこれまで通り」と鎮静化に躍起だ。
安全管理局の新設は、中田宏市長が進めてきた2006年4月からの横浜市の局再編の1つ。
鳥インフルエンザなどの感染症、通学路で起きる凶悪犯罪など、広範な「危機」を統括し対処するもので、中田市長は「局名は都市の安全確保を総合的に推進していくという役割を表した」と議会などで説明。
全部で10を超す候補について、かんかんがくがくの議論を庁内で行ったという。
全国の市町村では静岡市が危機管理と消防を一体化、「消防防災局」とした例はあるが、消防を局名から全く外した例はない。
市案に対し、横浜市会の各会派から異論が相次いだ。
主な主張は
【1】「消防局」の名は市民に最も知られており、統合しても残した方が通用する
【2】消防力の低下が心配
など。
何よりも消防団員や職員の士気の低下を危ぐする意見が強かった。
条例案を審議した市会の都市経営総務財政、道路消防の両委員会も批判一色だったが、採決では共産党と無所属クラブ以外は賛成に回り(道路消防委員会では自民委員2人が欠席)、賛成多数で可決した。
来年の市長選をにらみ“政局化”を避けようとする市会サイドの判断も働くなどして、委員会での激論とは裏腹に可決への流れができた。
安全管理局には、消防局の職員約3300人に、危機管理部門(総務局)から約30人、防犯部門(市民局)から6人程度の、全体からすれば約1%程度が加わるが、機能強化に伴う増員や新たな財政措置は打ち出されていない。
消防局など市側は、消防職員や消防団の任務についても、市民生活についても、基本的にはこれまでと変わらないと繰り返している。
「消防署」「消防車」の呼び名はそのまま使うが、消防車や救急車の表示は、現在は「横浜市消防局」だが、4月以降はその上に「横浜消防」のシールを張るという。
全部で19種類、数万着に上る職員の被服は更新時に順次、「横浜消防」に変えていくが、最長で5年間、「横浜市消防局」との併用になる可能性がある。
市民からの119番への対応も「119番消防です。火事ですか、救急ですか」と今までと変わらない。
「消防団」の名称も継続するという。
※参考情報
横浜市の2006年4月からの局再編に伴う2つの条例の一部改正案が22日、市会第4回定例会本会議で賛成多数で可決された。
「市事務分掌条例」と「消防本部及び消防署の設置等に関する条例」で、現状の27局・事業本部体制から23局・事業本部に再編。
消防局は安全管理局に再編される。
本会議の採決では共産党と無所属クラブの計11人が反対、自民党、民主党ヨコハマ会、公明党、ネットワーク横浜の計74人が賛成した。
自民党の4人が欠席した。