ヒストグラム
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大規模災害時に、日本赤十字社宮城県支部とアマチュア無線愛好家が協力して情報収集に当たる「宮城県アマチュア無線クラブ赤十字奉仕団」が結成された。
仙台市青葉区堤通雨宮町にある日赤県支部に無線の基地局を置き、愛好家は県内全域にいる仲間と交信。
被害状況を聞いて医療救護団の派遣などに役立てる。
県支部は「電話回線の断絶や停電時でも、情報網を広げられる」と愛好家らの活躍に期待している。
日赤県支部の管内では1974年、仙台を拠点としてアマチュア無線の奉仕団が発足したが、最近は活動が形骸(けいがい)化していた上、備え付けられていた基地局用の無線機が老朽化していた。
昨年11月、県支部は、NPO法人宮城防災アマチュア無線クラブの菅井修理事長(68)らに働き掛け、約80人を集めて新たな奉仕団を発足させた。
無線機もデジタル化した最新機種を導入した。
大地震などの際、奉仕団は県支部に駆け付け、各団員の居住地周辺について情報を集める。
デジタルカメラで撮影したカラー画像を、パソコンを使って送ってもらう。
県支部が被災した場合、団員の自家用車に搭載した無線機同士で交信する。
今春以降、基地局と各団員の無線機を使って交信試験を実施。
夏には県内の各アマチュア無線組織を集めて連絡協議会を開き、連携を深める。
県支部は従来、災害情報を集めるために職員を県庁の災害対策本部に派遣していた。
2005年の8・16宮城地震で、泉区の複合健康施設「スポパーク松森」のつり天井が落下し、35人が負傷した際も、行政経由で情報を受けて仙台赤十字病院(太白区)から医師団と血液などを送った。
奉仕団設立によって、行政機関以外にも情報網を広げられることになった。
奉仕団の委員長を務める菅井さんは「県内には1000人以上のアマチュア無線愛好家がいる。メンバーを増やして効果を高めたい」と意気込む。
県支部の加藤一広事業推進課長(57)は「電話回線が込み合ったり、携帯電話が通じなくなったりする情報寸断時は、無線機が役に立つ。奉仕団との連携は心強い」と話している。